目の構造と機能と疾患

光が脳へ情報として伝わるまで

光を取り入れその刺激を電気信号に変換し、脳へ伝える光感覚受容器です。大人では直径約24mm前後の大きさです。
眼の構造と機能は昔からカメラに例えられます。
光を屈折させるレンズの役割を担うのは角膜(黒目)と水晶体です。虹彩(茶目)は光の量を調節する絞りの役割をします。強膜・脈絡膜に囲まれた箱の中で、網膜はフィルムの役割をして、光を受け止めて電気信号に変えて、視神経を介して脳に刺激を伝えます。

それぞれの組織の説明、役割、代表的な病気

強膜

眼球の表面にはいう比較的硬く白い組織(いわゆる白眼)で、目の形の基礎になります。カメラでいうボディです。

考えられる疾患
  • 強膜炎

結膜

眼の正面付近(まぶたに保護されている部分)の薄く透明な膜(結膜)で、強膜を多い、角膜の縁まで延びています。また、眼球だけでなく、まぶたの裏側の湿った部分も覆っています。

考えられる疾患
  • アレルギー性結膜炎(花粉症含む)
  • ウイルス性結膜炎

角膜

虹彩と瞳孔の前にある透明なドーム状の構造物で、表面を保護する働きとレンズとして機能して、眼球の裏側にある網膜の上に光が像を結ぶのを助けます。

考えられる疾患
  • 角膜びらん

瞳孔

虹彩の中心にある黒い穴で、光の通り道になります。

虹彩

瞳孔を取り巻く環状の色の付いた領域です。いわゆる、茶目です。

瞳孔の大きさを調節することで眼に入る光の量が調節されています。暗い場所では、瞳孔を大きくすることで、たくさんの光が目の中に入ります。逆に、明るい場所では、瞳孔を小さくすることで、眼に入る光の量が少なくなります(瞳孔の収縮[縮小]による)。このように瞳孔は、周囲の光の量に応じて、カメラのレンズの絞りのように散大したり収縮したりします。瞳孔の大きさを調節しているのは瞳孔括約筋と瞳孔散大筋という筋肉です。

水晶体、毛様体、毛様小体

虹彩のすぐ後ろにあり、大きさを変えることでオートフォーカス機能のあるレンズの働きをします。

水晶体が形を変えることで、眼に入った光がうまく網膜の上に像を結びます。毛様体に存在する筋と呼ばれる小さな筋肉が動いて、毛様小帯という糸を伸縮され、水晶体は近くの物を見るときは厚くなり、遠くの物を見るときは薄くなります。

考えられる疾患

網膜と黄斑部(中心窩)、脈絡膜

網膜

光を感じる役割をし、光を受け取る視細胞と、その細胞に栄養を与えるための血管が分布しています。

網膜の中で光への感度が最も高い部分は黄斑(中心窩)と呼ばれます。ここには、視野と中心となる情報を、高密度に分布する錐体細胞と呼ばれる種類の視細胞が受け止め、緻密な像が作られます視細胞はそれぞれが神経線維につながっています。

網膜に結ばれた像は視細胞で電気信号に変換され、それが視神経を通って脳へと運ばれます。
なお、視細胞には大きく2種類あります。

錐体細胞

中心視野を鮮明にする機能と色を感じる機能をもち、主に黄斑部に分布しています。

桿体細胞

周辺視力と夜間の視力を担っています。桿体細胞は錐体細胞よりもはるかに数が多く、光に対する感度も高いのですが、錐体細胞と異なり、色を感じたり中心視野で像を鮮明に見せたりする機能はもっていません。桿体細胞は主に網膜の周辺部に集まっています。

脈絡膜

豊富な血管と黒い色素が沢山存在し、網膜に栄養を供給したり、カメラの外箱のように、光が内外から漏れないように防ぐ役割をします。

網膜の代表的な疾患
  • 網膜分枝静脈閉塞症
  • 網膜中心静脈閉塞症
黄斑の代表的な疾患
  • 黄斑浮腫
脈絡膜の代表的な疾患
  • 中心性漿液性脈絡網膜症

視神経

視細胞につながった神経線維は束になって視神経を形成し、脳へ情報を伝えます。眼球からの入り口は、乳首のようになっており、視神経乳頭と呼ばれます。

前眼部と後眼部、房水と硝子体

目の中の大きな二つの部屋(前房と後房)と2種類の目の中を満たす水(房水と硝子体)

眼球は大きく前眼部と後眼部の2つの部分に分かれています。そのどちらも液体で満たされています。それぞれ房水と硝子体という液体が眼球を満たしているため、その圧力により眼球の形が保たれます。

前眼部

眼球の前方、つまり角膜の内側から水晶体の前面までの部分を前眼部といいます。ここは房水という液体で満たされており、目の内部の構造物は房水から様々な栄養を得ています。 前眼部は、さらに前房と後房の下記の2つの部分に分かれます。

前房

角膜から虹彩までの範囲を指します。

後房

虹彩から水晶体までを指します。

※房水の流れ:後房でつくられ、瞳孔を通ってゆっくりと前房の中へと流れ込んでいき、虹彩と角膜が交わる場所にある隅角からシュレム管という流出路を通って眼球の外へと排出されます。

後眼部

眼球の後方、水晶体の裏面から網膜までの部分です。後眼部は硝子体(しょうしたい)液と呼ばれるゼリー状の液体で満たされています。

涙腺

上瞼の外側上方にあり、涙を分泌します。

睫毛

いわゆる、まつ毛、上下の眼瞼の縁にあり、異物から目をまもります。

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