コンタクトレンズ障害

コンタクトレンズ障害

原因・病態

使い捨てソフトコンタクトレンズが利用できるようになってから、コンタクトレンズ(以下、CLとする)装用者が急増しました。CL装用人口は全国で1,500万~1,800万人ともいわれ、国民の10人に1人がCLを装用していると推測されています。それに伴いCLによる眼障害が急増し、CL装用者の10人に1人に眼障害が生じていると推測されています。その背景にはケア方法が簡便になったことやCL量販店の安売り販売、そしてインターネット販売の普及などがあります。 医師の処方なしでCLを販売していることが少なくありません。

CLには大きく分けて、ハードコンタクトレンズ(HCL)とソフトコンタクトレンズ(SCL)の2種類があり、SCLの使用者が、全装用者の約7割を占めています(表1)。SCLでは従来型の1~2年間使用するSCL以外に1日使い捨て、1週間使い捨て、2週間頻回交換SCL、定期交換SCLといった、いわゆる「使い捨てSCL」、「ディスポ系SCL」といわれるSCLが登場し、装用者も増えています(表2)。

ハードコンタクトレンズの場合、目に異物感があるとすぐにはずすので、障害が起こっても重症化しにくい傾向にあります。一方、薄くて装用感のよいソフトコンタクトレンズの場合は、障害が起こっていることに気付きにくく、異物感や痛みを感じたときにはすでに症状が悪化している場合が多くみられます。
コンタクトレンズ装用が原因と考えられる角膜感染症のために入院治療が必要となった症例は、眼痛、充血、視力低下などです。
病原菌検査の結果、緑膿菌、アカントアメーバなどが検出されことがあります。

CLの使用状況を調べると、レンズケアがちゃんと行われていない症例、コンタクトレンズの使用期間や定期検査間隔も正しく守られていない症例が見られます(表3、表4 コンタクトレンズ協会ホームページより)。安全にCLを使用するためには、適正なレンズケア、正しい使用方法、眼科での定期検査がとても必要です。

コンタクトレンズ障害で生じる病気として以下のようなものが挙げられます。
角膜感染症、アカントアメーバ、角膜潰瘍など。

表1.コンタクトレンズの種類1

ハードコンタクトレンズ(HCL)・異物感を生じやすい
・はずれやすい
・障害の初期に痛くなるため、重篤な角膜障害を生じにくい
・角膜の乱視矯正によい
ソフトコンタクトレンズ(SCL)・装用感がよい
・バンデージ効果により角膜障害に気付きにくい
・汚れやすい
・角膜の乱視矯正が低い
・耐久性に劣る

表2.コンタクトレンズの種類2

1日使い捨てSCL目に入れたレンズはその日のうちにはずして再使用しない
1週間使い捨てSCL最長1週間を限度に連続装用で使用。一度はずしたレンズは再使用しない
2週間頻回交換SCL最長2週間を限度に毎日出し入れ使用するが、再使用しない
定期交換SCL毎日出し入れ使用するが、一定の期間(4週間、1か月、3か月、6か月)使用したレンズは再使用しない。使用できる期間はレンズにより異なる
従来型CLハードCLは2~3年間使用、ソフトCLは1~2年使用

表3.重症例のレンズケアの状態

レンズのこすり洗いを毎日していない77%
レンズの消毒を毎日していない51%
レンズケースの3ヵ月ごとの定期交換をしていない73%

表4.重症例のレンズ使用・受診状況

1日使い捨てCLを1日を超えて使用している50%
2週間交換レンズを2週間を超えて使用している60%
終日装用レンズを連続装用(就寝時も装用したまま)している27%
定期検査の間隔が3ヵ月を超える76%
定期的な検査をほとんど受けていない35%
関連する病名角膜感染症、細菌性角膜炎、アカントアメーバ角膜炎、角膜内皮障害
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