学校検診で異常を指摘されたら
学校検診の用紙はもらって帰ってきましたか?捨ててしまっていても、受診されることが大切です。
近視は徐々に進むため、「見えている」と言っていても、本人も困っていることに気付かないことが多いです。
授業中、黒板が見にくいのは困ります。
授業の理解ができなければ、成績に影響しますし、なにより本人も退屈するので気の毒です。
勉強に集中できなくなっているのは、本人の責任だけではないかもしれません。
また、近視だけでなく、重大な病気が隠れていることも散見されます。
お子さまのためにも、異常を指摘されたら、きちんと日本眼科学会認定眼科専門医のいる眼科を受診させてあげてください。
斜視(眼位異常)
斜視
斜視とは
物を見ようとする時に、片目は正面を向いていても、もう片目が違う方向を向いてしまっている状態、左右の視線が合わない状態が斜視です。
片目が正常な位置にあるときに、もう片目が内側に向いてしまっている状態を内斜視、外側に向いてしまっている状態を外斜視、上側に向いてしまっている状態を上斜視、下側に向いてしまっている状態を下斜視といいます。
なお赤ちゃんは鼻の根元が低くて広いために、あたかも内斜視のようにみえることがあります。見かけ上のものであり、本当に斜視があるわけではないのでこれを偽斜視といいます。成長に伴い顔立ちがはっきりしてくると目立たなくなります。
★斜位とは
斜視とは違い、ふだんは両眼とも同じ場所を見ているのに、片眼ずつ調べると視線がずれている状態集中することで両眼の視線を目標に合わせている状態です。
したがって、通常状態で視線のずれはなく、両眼視でものを可能ですが、片方の眼を隠して 両眼の関係を断ち切った時に、隠した方の眼が斜視のように外れます。
症状
物が2重に見える
斜視があると、ものが二つに見えたり、ずれた側の目でみる像がぼやけて見えるなどの理由により、お子さんが無意識のうちにその目を使わなくなって視力の発達が妨げられてしまいます。
そうすると、弱視といって、眼鏡をかけても視力が上がらない状態になってしまいます(弱視)。
頭部傾斜
斜視では、顔を斜めにして見ることもあります。
斜視の原因
様々な原因がありますが、ほとんどは目を動かす筋肉や神経の異常によるものや遠視によるものです。
目を動かす筋肉や神経の異常によるもの
遠視によるもの
遠視が強いと、物をはっきり見ようとして調節(ピント合わせ)が過剰に働いたことに、目が内側により過ぎて生じます。遠視の矯正眼鏡をかけると眼位ずれ(目の向きのずれ)がなくなる内斜視です。1歳6か月から3歳までの発症が最も多いです。
放置すると、見かけ状の問題だけでなくだけでなく、立体的にものが捉えられる能力、視力の発達障害につながります。
目の病気によるもの
例えば、片方に白内障がある場合
見えている方の目だけ正面、白内障が著明で見えてない方の目は外側を向いてしまいます。
脳の病気によるもの
脳からうまくバランスよく両目を動かす指令を出せないもあります。大きな病院で、脳血管障害や腫瘍などの有無の精査が必要です。
全身の病気に伴うものなどがあります
例えばバセドウ病などの甲状腺の異常で、目の周りの脂肪が腫れてしまって、目が少し飛び出て、目の動きに制限がかかってしまうことなどがあります。
検査
眼科検査
- 眼位検査 目の寄り具合、動きをみます。
視診、HeSSチャート - 立体視検査 立体画像をみて、両目で距離感や立体感が得られているか検査します。
ラングステレオテスト - 網膜対応検査 光が目の奥でちゃんと適切な位置で受信されているか調べます
バゴリーニ線条テスト - 両眼視機能検査 遠くのものを両目で捉えられているか、調べます。
ワース4灯
全身検査
眼鏡で改善もなく、全身の症状が伴っている場合、大きな病院へ紹介します。
大きな病院で、小児科の先生に脳や全身の病気が隠れていないか調べてもらいます。
全身検査(採血など)や磁気共鳴画像(MRI)などの検査を行うことがあります。
治療
全身の病気や脳の病気治療
それぞれの科で、原因に対する治療を行います。
治療が落ち着き、斜視の具合も固定すれば、眼鏡処方や手術を行うこともあります。
軽度の斜視の場合、度数の異常の場合
サイプレジンやアトロピンという調節を取る目薬をして詳しく目の度数を調べます。
★サイプレジン検査についてはこちらへ
そのデータをものにして、後日眼鏡を処方して様子を見ます。
1時間半ほど時間がかかりますので、必要な場合は原則、後日での電話予約とさせていただいております。
★眼鏡の補助制度
9歳未満のお子様には病状により、眼鏡代の補助制度があります。
眼鏡では不十分な場合、眼鏡とは関係なく、筋肉や神経の問題であるとき
大きな病院で小児科と麻酔科と眼科がしっかりしている施設での加療になります。
一般的には、全身状態をみながら、適切な時期に全身麻酔下で目と目のまわりの筋肉の位置をずらす手術を行います。
弱視
弱視とは
一言でいうと、視力の発達障害です。視覚情報が伝わる経路のどこかに支障があるときに生じます。
通常視力の発達の感受性期(生後1ヶ月から8歳ごろまで)に片目または両目に適切な視覚刺激を受け取ることができなかったために視力の発達が止まったり遅れたりすることによります。
弱視の原因
網膜に光を通しにくい(形態覚遮断弱視)
網膜に光が刺激として十分に入らないと視力が発達しません。
しっかり視覚刺激を受け取るには、原因を取り除くための手術が必要なこともあります。
生まれたときからまぶたがさがっている(眼瞼下垂)
黒目の部分が濁っている(角膜混濁、白内障)
片方の目の位置がずれている(斜視弱視)
ものを見ようとするときに片目は正面を向いていても、もう一方の目が違う方向を向いてしまっている状態のことを斜視といいます。片目の視線がずれている場合、その目が使われないために視力が発達しません。
網膜にきちんとピントが合わない(屈折異常弱視)
両目に強い遠視や乱視があると網膜にきちんとピントが合いません。このような状態で過ごしていると、視力が発達しません。
右眼と左眼の屈折度数(近視、遠視や乱視などの屈折異常の程度)に大きな差がある(不同視弱視)
右眼と左眼の屈折度数の差が大きいと、屈折度数の大きいほうの目にきちんとピントが合わず、その目が使われないために視力が発達しません。
検査
屈折検査と視力検査
視力検査
説明は不要でしょうが、必要に応じてレンズを入れた眼鏡を装用して検査します。
小さい子は、Cの字のハンドルを持ってもらって検査します。
屈折検査 目の度数を測ります
どれくらいの度数のレンズを眼鏡に入れたら一番よく見えるかを教えてくれる機械です。
オート・レフラクトメーター
顎を台に機械をのせて、真ん中の絵がぼやけて見えたりはっきり見えたりします。
スポットビジョン・スクリーナー
視力検査できない子どもでも、0歳6ヶ月から目の度数(眼鏡が緊急で必要かどうか)を、写真を撮る感覚で瞬時に判断できます。
ほかに、機械的ですが、瞳孔の左右差、斜視の具合もある程度わかります。ただし、アメリカ人の基準値ですので、判定はオーバー気味にでることもあります。
治療
眼鏡装用
弱視の治療は、弱視の種類や発生した時期によって違います。しかし、どのような種類の弱視でも屈折異常がある場合は、眼鏡をかけて網膜の中心窩に焦点を合わせて鮮明な像が結ばれる状態にして、視力の発達を促すことが大切です。
遮閉訓練
眼鏡をかけるだけで視力が良くならない場合は、遮閉訓練も一緒に行います。
遮閉訓練は、視力の良いほうの目に遮閉具(アイパッチ®)を付け、視力の悪いほうの目でしっかり見るように促す訓練です。
★アイパッチを嫌がる場合は、お子さんの好きなキャラクターを遮閉具に書いたり、シールを貼ったりします。また、眼鏡をかけている場合は、眼鏡の上から布製の遮閉具を付けるなどの工夫をしてみるとよいです。インターネットサイトで販売しております。
それぞれの斜視の原因疾患の治療
白内障なら白内障手術、目の周りの筋肉の異常なら斜視手術、脳の異常であれば、腫瘍などの手術があります。
芦屋川眼科からお近くの小学校に通っていて、目を気にされてたり、
頻繁にまばたきしているおこさまいらっしゃいませんか?
もしかしたら、うまく言葉で伝えられないこともあるかもしれません。
当院は眼科検診も随時受け付けております。
是非、お気軽にご相談ください。